大判例

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東京高等裁判所 昭和37年(行ナ)125号 判決

原告 青星ソース株式会社

被告 株式会社 祭原

〔抄 録〕

(一)、本件登録商標は別紙に示すとおりのものであつて、その構成自体から見て、仮りに「青星」の文字がこの商標採択の動機ないし理由とせられているにしても、この文字を極端に変形し、図案化したものであつて、これがそうしたものであると説明せられて仔細にこれを見れば、なるほどそうかと認められる程度のものにすぎないから、本件登録商標は、この特殊の形態において商標としての特別顕著性を有するものであつて(この意味からすれば本件登録商標は、いわゆる文字商標というよりは、むしろ図形商標に近いものであらう。)、これが不使用による取消を論ずるに当つては、単にこれから生ずるであらう同音、同義の標章が使用されたかどうかというだけでは足りず、右特殊形態少なくともこれと取引上同視せられる形態における使用の有無を検討すべきものと解せられる。

従つて仮りに原告が右商標の登録後、右商標そのものでなく、「青星」とか「アオボシ」とか、また「BLUESTAR」とか、また図形標章としての青い星のマーク等を標章としてその商品に使用している事実があるとしても、その使用をもつて、本件商標の使用そのものとはとうていこれを解することはできない。

この意味からして原告提出の本件証拠中甲第二、第五号証、第九号証の一ないし三五二、第一三、第一七号証、第一九ないし第二八号証は、成立に争いのないものではあるが、原告の本件商標使用の事実の証拠としては何らの価値も持たないものといわなければならない。

(二)、次に成立に争いのない甲第三号証の一ないし三、第四号証、第七号証の二、三、第八号証の三、四にはいずれも本件商標そのものの表示があることはこれを認めるに足るのであるが、そもそも商標の使用があるとするがためには、本件商標の登録以後の旧商標法の施行当時にあつても必らずしも商品そのものにこれが付せられて使用せられることを要するものではないが、当該商標がその指定商品との具体的関係において使用がせられているものでなければならないと解するのが相当であるから、この意味において右甲第三号証の一ないし三のような原告会社取締役に宛てた取締役会並びに臨時株主総会の通知書に使用された原告会社便箋の標外会社名の上に本件商標の記載がせられているからといつて、これを本件商標の指定商品との具体的関係において使用しているものとはとうていこれを認め難いところであり、甲第七号証の二、三及び同第八号証の三、四も、原告会社の工場事務室内ないしは本社人口内部の正面にこれを表示していることを示すものではあるが、これまた右同様の意味において本件商標の使用とはこれを認めることはできない。そしてまた前示甲第四号証は原告会社名、本社及び工場所在地等を裏面に印刷した未使用の封筒であつて、これには本件商標そのものの表示がその会社名の上部に記載せられているものではあるが、右商標の表示の上部には黒色で塗りつぶした五稜星のマークもまた同時に記載せられているものであつて、これが何時作成せられたものであるか、また果してこれと同様のものが使用せられた事実があるのかどうか、その作成時期及び使用の事実については何らこれを認むべき資料がないばかりでなく、前示甲第二、第五号証、第一三、第一七号証、第一九ないし第二八号証に本件口頭弁論の全趣旨を総合すれば、原告は本件商標の指定商品である「ソース」等そのものにつき、本件商標を付してこれを販売した事実はなく、その広告等においても「青星」の文字ないしは星そのものの図形を用いるものがその殆んど全部であつて、後に説明する甲第二九号証を除いては本件商標を記載したものは皆無といつてよいものであることが認められるので、原告は本件商標登録後その当初の時期には後期甲第二九号証のような形式において本件商標を使用したことはあるにはあるが、その後は寧ろ本件商標を使用することを好まず、前記甲第二号証等のような「星」ないしは「青星」マークのものを使用するのを常としていた事実を認めることができるのであるから、前示甲第四号証は、使用の仕方によつては取引に関する書類として、商品との具体的関係において使用せられ得る性質のものではあるが、右甲号証によつて、本件商標が、後記甲第二九号証の以後にもその使用がせられていた事実は遂にこれを認めることはできないものといわなければならない。

(三)、最後に成立に争いのない甲第二九号証であるが、これは原告会社の作成にかかる昭和二七年度用のカレンダーであつて、昭和二七年度用のカレンダーといえば、その性質からいつて、本件商標の登録せられた昭和二六年中に作成せられ翌年度用として、大体その作成年度中に宣伝その他の意味を含めてその取引先等に配布せられたものと認めるのが相当であり、そして右カレンダーにあつては、暦日を記載した部分の上部に「群を抜いて輝く」「ソース界のスター」の文字を黒地に白抜きで現わし、カレンダーの下部に黒字で原告会社名及び所在地電話番号を左横書きで記載するとともに、その左側に頭書き的に本件登録商標を同じく黒色で表示したものであつて、前記のようにカレンダーそのものが広告宣伝用の意味をも含めて使用せられる性質のものであること、右カレンダーにおいては本件登録商標の表示がせられているだけでなく「ソース界のスター」の語も同時に表示せられている点から見れば、本件商標は少くとも右カレンダーの作成配布によつて、その指定商品であるソースとの具体的関係において、昭和二七年中まではその使用がせられていたものと認めなければならない。

しかし、原告がその後本件商標をその指定商品との関連において使用した事実はこれを認められないこと前記のとおりであり、他に右使用の事実を認むべき資料は何ら存しないところであつて、却つて本件商標の登録直後においては、原告も右カレンダーによつてこれを使用してみたものではあるが、その後はその使用の意図を失い、寧ろ専ら本件商標の使用とは認められない「青星」の文字ないし「星」の図形標章の使用をして来たものと認められること前認定のとおりであるから、原告は本件登録商標につき、昭和二八年以降引続き三年以上その商標の使用を中止したものであることは明らかであり、しかも原告が右不使用について正当の理由を有することについては何らこれを認むべき資料はないのであるから、本件商標は旧商標法第一四条第一号の規定によりとうていその登録取消を免れ難いものというべきであつて、結局これと同趣旨に出た本件審決は相当である

(原 山下 多田)

別紙 本件登録商標

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